株式会社社長の専門学校
『会社売却2.0/
М&Aセルサイドアドバイザー協会』
代表 田中英司(たなかえいじ)
- M&Aのプロアドバイザーかつ現役経営者。
- ゼロから創業した会社を上場させ、買手・売手の両方を社長として経験。
- 上場企業を引き継いだ後、複数社の会社を経営。
- M&Aアドバイザーとしても、年商数千万~数十億のM&Aを成功に導く。
会社売却を検討する際に、売手が必ず注意しておきたいポイントの一つに「COC条項」があります。
M&Aに関係のない方にとっては、あまり聞き慣れない言葉かもしれません。しかし、会社を売りたいというご相談を受けたとき、私たちが最初に気にする重要な確認事項の一つが、このCOC条項です。場合によっては、会社売却そのものに大きな影響を与えることがあります。致命的とまではいかなくても、企業価値の評価や買手との交渉に大きく関わることもあります。
今回は、売手が気をつけるべきCOC条項について、取引先との契約、賃貸借契約、そして実際にどのタイミングで対応すべきかという観点から解説します。
\この記事を動画でサクッと理解/
YouTubeでポイント解説中!↓↓↓
目次
会社売却で取引先・
貸主の承諾は必要か?
1.取引先との契約に
おけるCOC条項

COCとは「Change of Control(支配権の変更)」の略で、日本語では「支配権変更条項」と呼ばれます。
●COC条項とは何か
日本語では、支配権変更条項などと呼ばれることがあります。
簡単に言うと、会社のオーナーや株主が変わるときに、取引先への「通知」や「承諾」が必要になる契約条項です。
会社売却の多くは、株式譲渡という方法で行われます。株式譲渡では、会社名や法人格は変わらず、従業員や事業もこれまでどおり続くため、外から見ると何も変わっていないように見えます。
しかし、実際には会社のオーナーが変わるため、経営方針や事業の進め方、取引方針が変わる可能性があります。
そのため、取引先にとっては、「会社名は同じでも、実質的には取引相手が変わる」と考えられることがあります。
このような理由から、重要な取引先との契約では、会社の支配権が変わる場合に通知や承諾を求めるCOC条項が設けられていることがあります。


●株主が変わることは、取引先にとって大きな問題になる
皆様の取引先で考えてみてください。
長年取引をしている会社の株主が、ある日突然、大きく変わったとします。結果として何も変わらないかもしれません。しかし、場合によっては、事業方針や取引方針が180度変わる可能性もあります。
そうなると、取引先としては不安になるのが自然です。
そのため、契約書の中には、株主や支配権に変更があった場合について、次のような条項が入っていることがあります。
●通知が必要なケースと、承諾が必要なケース
COC条項には、大きく分けて2つのパターンがあります。
1つ目は、株主や支配権が変わった場合に、相手方へ「通知してください」というものです。
2つ目は、株主や支配権が変わる場合に、事前に「承諾を得てください」というものです。
この2つの違いは非常に大きいです。
通知であれば、基本的には相手方へ知らせれば足ります。一方で、承諾が必要な場合は、相手方が承諾してくれなければ、そのまま取引を継続できない可能性があります。
そのため、契約書にCOC条項がある場合は、「通知で足りるのか」「事前承諾が必要なのか」を必ず確認する必要があります。
●競合会社に売却されると、取引先は困る
例えば、大手メーカーと代理店契約を結んでいる会社があるとします。
その会社のオーナーが変わり、新しいオーナーがそのメーカーと競合する会社だった場合、メーカー側としては困ります。
「その会社に変わるなら、取引は続けられません」
このような話になっても不思議ではありません。
例えば、あるタイヤメーカーの代理店をしている会社が、別のタイヤメーカーの資本下に入るようなケースです。これでは、元のメーカーとしては、安心して代理店契約を続けることが難しくなります。
もちろん、実際にはそのような会社に売却できないことも多いですし、買手側も簡単には買収しないでしょう。
しかし、業種や取引関係によっては、COC条項が会社売却の大きな制約になることがあります。
●フランチャイズ契約でも注意が必要
同じようなことは、フランチャイズ契約でも起こります。
例えば、焼き鳥のフランチャイズを運営している会社があるとします。その会社を、別の焼き鳥チェーンを展開している会社が買収するという話になった場合、フランチャイズ本部としては「少し待ってください」と考える可能性があります。
また、契約書の中に「COC条項」と明確に書かれていないこともあります。
しかし、契約書をよく見ると、次のような内容が入っていることがあります。
「重要な変更がある場合は通知してください」
「重要な変更がある場合は承諾を受けてください」
「株主や代表者に変更がある場合は、所定の手続きをしてください」
このように、COC条項という名前で書かれていなくても、実質的に同じ意味を持つ条項が入っていることがあります。
そのため、契約書の中で、株主変更や支配権変更についてどのように定められているかを確認することが非常に重要です。
●売却前から業種特有の制約を見ておく
契約書の確認は大切です。
ただし、それだけでなく、売却前の段階から、その会社がどのような業種で、どのような制約を受けやすいのかを見ておくことも重要です。
業種や取引先を見れば、ある程度、次のようなことが見えてきます。
「この会社は、あの会社には売れないかもしれない」
「この取引先との関係は、かなり重要そうだ」
「この契約は、COC条項を詳しく確認した方がよさそうだ」
私たちが会社売却のご相談を受けるときも、最初からCOC条項がどうなっているか、また業種的にどのような制約がかかりそうかを確認しながら進めていきます。
会社売却を検討している経営者の方は、動画で学んでいただくことも大切ですが、まずは自社の契約関係を確認してみることが重要です。

2.賃貸借契約におけるCOC条項

もう一つ大きなポイントが、店舗や事業所の賃貸借契約です。
●店舗ビジネスでは賃貸借契約が非常に重要
会社売却では、取引先との契約だけでなく、店舗や事業所の賃貸借契約も重要な確認事項です。
例えば、5店舗を運営し、売上10億円の会社があるとします。その中でも売上3億円、利益5,000万円を生み出す主力店舗があれば、その店舗の賃貸借契約は会社の価値に大きく影響します。
特に確認したいのが、「普通借家契約」なのか、「定期建物賃貸借契約(定借)」なのかという点です。
●定期建物賃貸借契約は期間満了で終了する
定期建物賃貸借契約は、契約期間が終了すると原則として契約も終了します。
例えば、契約の残り期間が4年しかない場合、4年後には店舗を明け渡すことが前提になります。
売手は、
「貸主との関係が良いので再契約できます。」
と言うかもしれません。
実際に再契約できる可能性はありますが、保証されているわけではありません。
もし再契約できなければ、店舗は閉鎖となり、原状回復費用も発生します。
そのため、買手は「大丈夫」という言葉だけでは安心できません。
●主力店舗の契約期間が短いと買手は不安になる
買手は、将来も店舗が利益を生み続けることを前提に会社を評価します。
しかし、主力店舗の賃貸借契約が数年後に終了する可能性があると、その前提が崩れてしまいます。
例えば、
・4年後に契約終了
・再契約できる保証はない
・原状回復費用も必要になる
このような状況であれば、買手が慎重になるのは当然です。
そのため、主力店舗が定期建物賃貸借契約で、契約期間が短い場合は、M&Aにおける大きなリスクになります。
●貸主との交渉が必要になることもある
このような場合は、売却が具体化した段階で、貸主に契約延長や再契約について相談する必要があります。
ただし、貸主にとってもオーナー交代は契約条件を見直すタイミングです。
例えば、
「契約を続けるなら家賃を上げます」
と言われることもあります。
都市部や好立地では、このようなケースは珍しくありません。
●家賃が上がると会社の価値も下がる
家賃が上がれば、その店舗の利益は減ります。
買手は将来の利益を基準に会社を評価するため、利益が下がれば会社の価値も下がります。
その結果、
- 売却価格が下がる
- 価格調整が必要になる
といった影響が生じます。
さらに、貸主が契約更新や再契約を認めなければ、その店舗自体を維持できなくなり、会社売却が難しくなるケースもあります。
●移転できない店舗ほど特に注意
定期建物賃貸借契約が主要店舗や主要事業所にあり、しかも簡単に移転できない物件である場合、M&Aではかなり大きな課題になります。
例えば、
- 駅前など立地が重要な店舗
- 常連客が多く定着している店舗
- 移転すると売上が大きく落ちる店舗
このような店舗では、賃貸借契約の影響は非常に大きくなります。
そのため、貸主との交渉が必要になりそうな場合は、売却前から状況を確認しておくことが重要です。
実務では、
「契約更新を前提に進める」
「家賃上昇を見込んで会社価値を調整する」
といった条件を概要書に記載し、買手へ事前に説明することもあります。
そして、基本合意後の早い段階で貸主と調整し、デューデリジェンス中に結論を出すことが望ましい進め方です。
●普通借家契約と定期建物賃貸借契約ではリスクが大きく違う
同じ賃貸借契約でも、普通借家契約と定期建物賃貸借契約では意味が大きく異なります。
普通借家契約であれば、更新を前提として利用できるため、M&Aでも大きな問題にならないケースが多くあります。
一方、定期建物賃貸借契約は、契約期間が終了すれば退去が前提です。
事務所であれば移転という選択肢もありますが、営業店舗は簡単には移転できません。
店舗は「その場所」で売上を作っていることが多いため、移転すると売上や利益が大きく落ちる可能性があります。
だからこそ、店舗ビジネスのM&Aでは、賃貸借契約の内容を早い段階で確認することが非常に重要なのです。


3.自社の契約書は
どうなっていますか?

売却を検討する際には、まず皆様の契約書がどうなっているかを確認する必要があります。
※取引先との契約と賃貸借契約の両方を確認する
ここまで、取引先との契約におけるCOC条項と、店舗・事業所の賃貸借契約について説明してきました。
この2つは、会社売却の成否に大きく影響する重要なポイントです。
そのため、会社売却を検討する際は、まず自社の契約書を確認することが大切です。
例えば、取引先との契約では、
- 株主や代表者が変わった場合の取り扱い
- 支配権変更時の通知や承諾の有無
を確認します。
また、店舗や事業所の賃貸借契約では、
- 普通借家契約か、定期建物賃貸借契約か
- 契約期間がどれくらい残っているか
- 更新や再契約が見込めるか
といった点を確認しておく必要があります。
※重要な取引先ほど契約内容を確認する
すべての契約が会社売却に大きな影響を与えるわけではありません。
代替できる仕入先や販売先であれば、大きな問題にならないこともあります。
しかし、
- 特殊な商品やサービスを仕入れている
- その取引先との契約がなくなると事業への影響が大きい
- 売上の多くを占める重要な販売先である
このような場合は、契約内容を必ず確認する必要があります。
特にCOC条項がある場合は、
- 売却後も取引を継続できるのか
- 通知だけでよいのか
- 事前承諾が必要なのか
を確認しておくことが重要です。
契約書は、会社売却の可否や売却価格にも影響する重要な資料なのです。
※会社概要書を作成する段階で契約書を確認する
私たちはM&Aのご相談をいただくと、会社概要書を作成する段階で契約書を確認します。
事業内容を見ながら、
「この店舗は売上や利益への影響が大きいので、賃貸借契約を確認しましょう。」
「この取引先は重要なので、COC条項の有無を確認しましょう。」
というように、リスクの高い契約から優先して確認していきます。
例えば、主要店舗が普通借家契約であれば、一つの安心材料になります。
一方で、重要な取引先との契約では、業種や取引内容から「COC条項を確認すべき契約」が見えてくることも少なくありません。
会社売却を検討している方は、まず自社の契約書を整理し、どのような条件になっているかを確認することから始めることをおすすめします。


4.COC条項は
どの時点で対応する?

最後に、COC条項に対してどの時点で対応するのかをお伝えします。
●株式譲渡契約の締結からクロージングまでに対応することが多い
一般的なM&Aでは、株式譲渡契約を締結した後、クロージング(決済)まで一定の準備期間を設けます。
この期間を設ける大きな理由の一つが、COC条項への対応です。
契約で事前承諾が必要とされている場合は、取引先や貸主などから正式な承諾を得なければなりません。
そのため、
- 通知書を送付する
- 相手方で内容を確認してもらう
- 必要に応じて承諾書を返送してもらう
といった手続きが必要になります。
相手が大企業であれば社内決裁に時間がかかるため、2週間程度かかることも珍しくありません。
そのため、多くの場合はクロージングまでに必要な承諾を取得する流れになります。
●すべてのCOC条項を過度に心配する必要はない
COC条項があるからといって、すべてが大きな問題になるわけではありません。
例えば、車両のリース契約にもCOC条項が入っていることがあります。
しかし、通常は反社会的勢力など特別な問題がなければ、リース会社は承諾してくれるケースがほとんどです。
営業担当者へ連絡し、
「通知書を送付しましたので、ご確認をお願いします。」
「先にPDFでご返送いただけますか。」
といったやり取りで、比較的スムーズに手続きが終わることも少なくありません。
このようなCOC条項は、主に事務手続きとして対応すればよいケースです。
●本当に注意すべきCOC条項とは
一方で、本当に注意しなければならないCOC条項もあります。
例えば、
- 主要な仕入先や販売先との契約
- 競合会社への売却を制限する契約
- 主力店舗や重要事業所の賃貸借契約
などです。
これらは単なる手続きでは済まないことがあります。
もし主要取引先が承諾しなければ、事業そのものに影響します。
また、店舗の貸主が契約更新や再契約に応じなければ、将来の売上や利益に大きな影響を与えます。
さらに、家賃が上がれば利益が減少し、会社の評価額や売却価格にも影響します。
そのため、このような重要な契約については、早い段階から確認しておくことが大切です。
●新しく契約を結ぶときから意識しておく
COC条項は、会社売却が決まってから確認するものではありません。
新しく契約を結ぶときにも、どのような条件が定められているかを確認しておくことが重要です。
契約書に「COC条項」や「支配権変更条項」と明記されているとは限りません。
例えば、
- 株主が変わった場合
- 代表者が変わった場合
- 経営権に重要な変更があった場合
- 会社に重要な変更があった場合
に、通知や承諾が必要とされていることがあります。
将来、会社売却を選択肢の一つとして考えているのであれば、
日頃から契約内容を確認し、COC条項を意識しておくことが大切です。


まとめ
今回は、
売手が気をつけるべき
COC条項について
解説しました。
COCとは、Change of Controlの略で、会社の支配権が変わった場合に、相手方への通知や承諾が必要になる条項です。
会社名や営業実態が変わらなくても、株主が変わることは取引先にとって大きな変更です。特に、重要な取引先との契約やフランチャイズ契約、代理店契約などでは、COC条項が売却の大きな制約になることがあります。
また、店舗ビジネスでは賃貸借契約も非常に重要です。
- 普通借家契約か、定期建物賃貸借契約か
- 契約期間はどれくらい残っているか
- 更新や再契約が見込めるか
- 家賃が上がる可能性はあるか
これらは、買手の判断や会社の評価額、売却価格に大きく影響します。
会社売却を検討している方は、この機会に自社の契約書がどうなっているかを確認してみてください。
特に次の契約は、優先して確認しておきたいポイントです。
- 主要な仕入先との契約
- 主要な販売先との契約
- フランチャイズ契約
- 代理店契約
- リース契約
- 店舗や事業所の賃貸借契約

もし不明点がある場合や、すでに会社売却の話が進んでいて心配なことがある場合は、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
当社では、会社売却を検討している経営者の方からのご相談を受け付けています。
- 自社はいくらで売れるのか
- 今の契約書で問題がないか
- 売却の話が進んでいるが不安がある
- 取引先や貸主への対応をどう進めればよいか
といったご相談も可能です。
会社売却でお悩みの方、会社売却2.0について詳しく聞いてみたい方は、お気軽に無料相談をご利用ください。LINEから直接お申込み頂けます。
ご相談をLINEまたは下記のフォームからお申し込みください。
未来の可能性を最大化する第一歩を、
ぜひ一緒に踏み出しましょう。

【無料査定のご案内】
会社売却を成功させたいとお考えの経営者の皆様、まずは自社の価値を把握するところから始めましょう。
会社売却2.0
チャンネル登録&いいね!
のお願い
会社売却2.0チャンネルでは、会社売却を成功に導くためのノウハウを定期的にお届けしています。
- 後継者不足で悩むオーナー様
- 事業承継の選択肢としてM&Aを検討している方
- 会社の将来を考え、売却や連携を考え始めた方
チャンネル登録と「いいね!」をよろしくお願いします。
今後も最新情報をどんどん発信していきますので、チェックしてみてください。
会社の価値を最大限に引き出します会社売却2.0本気の
無料査定無料相談のご案内
社長様の理想を私たちに
ぶつけてください仲介会社から提案を
受けているが他の専門家の
意見も聞きたい仲介会社に依頼したが
思うように買い手候補の
提案が受けられない依頼するかわからな
いが軽く話を聞いてみたいどんな条件で売却できそうか
相談したいなどのご相談も大歓迎です!お気軽にご相談ください
この記事を書いた人
会社売却2.0


