株式会社社長の専門学校
『会社売却2.0/
М&Aセルサイドアドバイザー協会』
代表 田中英司(たなかえいじ)
- M&Aのプロアドバイザーかつ現役経営者。
- ゼロから創業した会社を上場させ、買手・売手の両方を社長として経験。
- 上場企業を引き継いだ後、複数社の会社を経営。
- M&Aアドバイザーとしても、年商数千万~数十億のM&Aを成功に導く。
会社売却を進める中で、複数の買手候補から意向表明書が届くことがあります。
売主にとっては非常にありがたい状況ですが、実際には「どの買手を選ぶべきか」で悩む場面も少なくありません。
提示金額が高い会社を選ぶべきなのか。会社の将来を考えて相性やシナジーを重視すべきなのか。あるいは、最終決裁者の本気度や買収スキームまで確認すべきなのか。
本記事では、売主側の立場でM&Aを支援する実務の視点から、複数の買手候補を比較する際に重視すべき4つの判断基準を解説します。
\この記事を動画でサクッと理解/
YouTubeでポイント解説中!↓↓↓
目次
1社を選ぶ基準は?
売主側FAが見る
4つの判断ポイント
1.多数の買手候補から選ぶときに
考えるべきこと
会社売却では、できるだけ多くの買手候補から意向表明(オファー)をいただける状態が理想です。
一般的には、企業概要書を提出し、買手候補による検討、トップ面談を経て、「この条件で買収を検討したい」という意向表明が提出されます。
買手側は「売主に選ばれる立場」です。一方、売主側は複数の買手候補を比較し、その中から最も良い相手を選ぶことができます。
案件によって異なりますが、5~6社以上から意向表明が集まることもあります。そのため、私たち売主側FAとしても、できるだけ多くの買手候補に打診し、複数のオファーを集められるよう進めています。
では、複数の買手候補から意向表明をいただいた場合、最終的にどの会社を選べばよいのでしょうか。
今回は、売主側FAが実際に重視している4つの判断ポイントをご紹介します。
・4つの判断ポイント

基準1:最も高く評価してくれる会社か
1つ目の判断基準は、最も高く評価してくれる会社かどうかです。
ここでいう評価とは、会社に対する印象ではなく、譲渡価格です。
「御社を高く評価しています」「ぜひ買収したいと思っています」と言われても、提示された金額が低ければ、その評価は本物とは言えません。本当に高く評価しているのであれば、その評価は価格に反映されるはずです。
そのため、複数の買手候補から意向表明を受けた場合、まずは提示金額を比較することが基本になります。
もちろん、価格差がわずかであれば、これから説明する「最終決裁者との距離」・「事業シナジー」・「買収スキーム」も重要な判断材料になります。
しかし、価格に大きな差がある場合は、高い評価額を提示してくれた買手候補を優先するのが基本です。

基準2:最終決裁者との距離が近いか
2つ目の判断基準は、最終決裁者との距離です。
トップ面談では、できるだけ買手企業のトップや、最終決裁者に近い方に参加していただくことが望ましいと考えています。
大企業やファンドでは、担当者が窓口になっていても、最終的な判断は役員会や投資委員会などが行うケースも少なくありません。そのため、「実際に誰が意思決定をするのか」「その人が案件にどれだけ関心を持っているのか」を見極めることが重要です。
トップ面談で決裁者本人、または決裁者に近い方と直接話ができ、買収への強い意欲を感じられれば、その後の独占交渉もスムーズに進みやすくなります。
独占交渉では、デューデリジェンスや契約条件など、さまざまな論点について協議を重ねます。その際、決裁者との距離が近く、信頼関係が築けていれば、意思決定も早く、成約まで進む可能性が高まります。
そのため、条件がほぼ同じであれば、「誰が意思決定をするのか」「決裁者との距離が近いか」は非常に重要な判断基準になります。

基準3:事業シナジーが見込めるか
3つ目の判断基準は、事業シナジーです。
買手が高い価格を提示したり、積極的に買収したいと考えたりする背景には、「この会社と一緒になることで事業が伸びる」という期待があります。
もちろん、シナジーを判断するのは買手側ですが、売主側も「この会社と組めば、さらに成長できるのではないか」という視点で検討することが大切です。
例えば、
- 売上拡大につながる
- 新しい市場へ進出できる
- 社員がより活躍できる
- 取引先との関係がさらに強くなる
といった将来像が描けるかどうかを確認します。
価格や買収意欲がほぼ同じであれば、最終的には売主側から見て、「どの会社と組むことが最も良い未来につながるか」という視点で判断することになります。

基準4:買収スキームや資金調達の負担が少ないか
4つ目の判断基準は、買収スキームや資金調達の内容です。
会社売却では、買手が自己資金で買収するケースもあれば、ファンドから出資を受けたり、LBOローンを利用したりするケースもあります。
どの方法にも問題があるわけではありません。しかし、私としては、自己資金で買収するケースの方が手続きが比較的シンプルで、売主側の負担も軽くなる傾向があると考えています。
一方、ファンドが関与したり、LBOローンを利用したりする場合は、金融機関や投資委員会の承認が必要になることも多く、デューデリジェンスもより慎重に行われるため、手続きが長期化することがあります。
そのため、買手候補を比較する際には、
- どのようなデューデリジェンスを予定しているか
- ファンド資金を利用するのか
- LBOローンを利用するのか
- 自己資金で買収するのか
- 全体の手続きはどの程度の負担になるのか
といった点も確認しておくことが大切です。
価格や買収意欲ほど優先順位は高くありませんが、スムーズに成約まで進めるためには、買収スキームも重要な判断材料の一つになります。


2.金額は
「評価の証」である

会社売却を検討している経営者の中には、「お金だけではないんです」とおっしゃる方がいます。そのお気持ちはよく分かります。
社員の雇用を守りたい、取引先との関係を大切にしたい、会社の理念を引き継いでほしい・・。創業者として、譲渡価格だけでは判断できない大切な想いがあるからです。
しかし、身内ではなく第三者に会社を譲渡する場合は、「会社をどう評価しているか」が最終的に譲渡価格として表れます。
つまり、高い譲渡価格を提示してくれるということは、それだけ会社の価値や将来性を高く評価してくれているということです。
もちろん、価格だけで買手を決めるべきではありません。社員や取引先との相性、会社の将来、買手の考え方も重要です。
だからこそ、まずは会社を最も高く評価してくれる買手を基準に考え、そのうえで最終決裁者との距離、事業シナジー、買収スキームなどを総合的に比較して判断することが大切です。


3.多数の買手候補から、
どのタイミングで1社に決めるのか

では、複数の買手候補がいる場合、いつ1社に絞ればよいでしょうか。
会社売却では、まず企業概要書を作成し、ノンネームシートを使って複数の買手候補へ打診します。
当社は売主専任FAのため、多くのM&A仲介会社にも協力を依頼し、それぞれが保有する買手ネットワークへ幅広くアプローチしています。
この段階で興味を示さなかった買手候補は、その時点で検討を終了します。
一方、興味を持った買手候補からは、追加資料の依頼や質問が寄せられます。さらに前向きに検討したいという場合には、売主と買手によるトップ面談を実施します。
4.1社を選ぶまでの具体的な流れ
前述のとおり、買手候補を1社に絞るのは、原則として複数の意向表明書が出そろったタイミングです。
ここからは、トップ面談を行ってから、意向表明書を比較し、独占交渉に入るまでの流れを詳しく説明します。
●トップ面談では、決裁権に近い方に参加してもらう
トップ面談では、できるだけ買手企業の経営者や、最終決裁者に近い立場の方に参加していただくようお願いしています。
面談では、売主企業の店舗や工場などを見学していただき、売主の社長と買手候補が直接話をします。私たち売主側FAも同席し、会社の現状や強み、今後の成長可能性などについて説明します。
このトップ面談を通じて確認するのは、主に次のような点です。
- 買手候補がどの程度本気で検討しているか
- 売主企業の事業をどこまで理解しているか
- 売主と買手の考え方や相性が合うか
- 最終決裁者に近い方が案件に関心を持っているか
トップ面談は、単なる顔合わせではありません。買手候補の買収意欲や、今後一緒に進められる相手かどうかを見極める重要な機会です。
●意向表明書の提出期限を設定する
トップ面談の後は、買手候補からの追加質問に回答したり、必要な資料を提供したりしながら、検討を深めてもらいます。
そのうえで、複数の買手候補に対して、意向表明書の提出期限を案内します。
例えば、
「○月○日を提出期限としますので、それまでに意向表明書をご提出ください」
という形で、同じ期限を設定します。
期限をそろえることで、複数の買手候補から提示された価格や条件を、同じタイミングで比較しやすくなります。
●意向表明書が出そろった時点で1社を選ぶ
意向表明書とは、買手候補から売主に提出される正式なオファーです。
一般的には、次のような内容が記載されます。
- 希望する譲渡価格
- 買収後の経営方針
- 売主や経営者に残ってほしい期間
- デューデリジェンスの予定
- 買収資金の調達方法
- 今後のスケジュール
- その他の前提条件
もちろん、トップ面談まで進んだ買手候補が、すべて意向表明書を提出するとは限りません。検討の結果、見送る会社もあります。
一方で、私たち売主側FAは、できるだけ多くの意向表明書を集め、売主が複数の選択肢から選べる状態をつくることを重視しています。
案件によっては、5社以上から意向表明書が提出されることもあります。反対に、1社からしか提出されない場合もあります。
重要なのは、可能な限り複数の正式なオファーを集め、その条件を比較できる環境をつくることです。
●意向表明書を4つの基準で比較する
意向表明書が出そろったら、これまで説明した4つの判断基準をもとに比較します。
1つ目は、最も高く評価してくれる会社かどうか。
2つ目は、最終決裁者との距離が近いかどうか。
3つ目は、事業シナジーが見込めるかどうか。
4つ目は、買収スキームや資金調達の負担が少ないかどうかです。
これらを総合的に比較し、どの買手候補と独占交渉に入るかを決定します。
譲渡価格は重要ですが、金額だけで判断するわけではありません。買収への本気度、買収後の成長可能性、成約までの進めやすさなども含めて慎重に選びます。
●1社を選んだ後は独占交渉に入る
買手候補を1社に絞った後は、その会社と独占交渉に入ります。
独占交渉とは、一定期間、選んだ1社とのみ具体的な交渉を進めることです。
他の買手候補には、
「ご検討いただきありがとうございました。今回は、他社様と独占交渉に入ることになりました」
とお伝えします。
この時点で、他の買手候補との検討は一旦終了します。
独占交渉後に交渉がまとまらず、破談になった場合には、他の買手候補へ改めて相談することもあります。ただし、最初から他社に戻ることを前提として進めるものではありません。
独占交渉に入った以上は、その買手候補との成約を目指して、デューデリジェンスや契約条件の調整を進めます。
●複数社とデューデリジェンスまで進めるケースもある
案件によっては、1社に絞らず、複数の買手候補と並行してデューデリジェンスを進め、最終契約の直前まで競争させる方法もあります。
ただし、この進め方ができるのは、売主企業が非常に強い立場にある場合です。
買手候補は、意向表明書を提出するまでにも、多くの時間と労力をかけています。さらにデューデリジェンスに進めば、専門家への報酬などの費用も発生します。
それにもかかわらず、最後まで進んでも選ばれない可能性があるとなれば、買手候補は参加をためらうことがあります。
非常に企業価値の高い会社や、多くの買手が強く希望する大型案件であれば、入札のような形で複数社を最後まで競わせることもあります。
しかし、一般的な中小企業のM&Aでは、意向表明書が出そろった時点で1社を選び、その会社と独占交渉に入る進め方が現実的です。
私たちが扱う譲渡価格10億円から50億円程度の案件でも、基本的には意向表明書を比較した段階で1社を選定します。
●独占交渉後に条件が崩れないよう、事前の情報開示が重要
売主として最も避けたいのは、独占交渉に入った後のデューデリジェンスで、想定外の問題が見つかり、譲渡価格や条件を大きく引き下げられることです。
これを防ぐためには、意向表明書を受け取る前の段階で、必要な情報をできるだけ正確に開示しておくことが大切です。
重要な事実が後から判明すると、買手候補から「聞いていた話と違う」と思われ、信頼関係が崩れる可能性があります。
一方、事前にリスクや課題も含めて丁寧に説明し、買手候補が理解したうえで意向表明書を提出していれば、独占交渉後の条件変更を防ぎやすくなります。
つまり、買手候補を1社に選ぶ際には、提示された金額だけを見るのでは不十分です。
最終決裁者との距離、事業シナジー、買収スキーム、買収への本気度なども含めて総合的に判断し、独占交渉後も安心して進められる相手を選ぶことが重要です。

まとめ
買手候補を選ぶ際の基準は、
大きく4つあります。
今回は、複数の買手候補から意向表明書をいただいた場合に、どのような基準で選ぶべきかについて解説しました。
買手候補を選ぶ際の基準は、大きく4つあります。
まず1つ目は、最も高く評価してくれる会社かどうかです。会社に対する評価は、最終的には譲渡価格に表れます。そのため、高い金額を提示してくれる買手候補は、売主にとって重要な候補になります。
2つ目は、最終決裁者との距離です。トップ面談にどのような立場の人が来るのか、実際に意思決定できる人に近いのか、買収に対する本気度があるのかを見極める必要があります。
3つ目は、事業シナジーです。買手候補との組み合わせによって、売却後に会社がより成長できるか、社員や取引先にとって良い未来が描けるかを考えることが大切です。
4つ目は、買収スキームです。ファンド資金やLBOローンを活用するのか、自己資金で買収するのかによって、手続きの重さが変わります。他の条件が同じであれば、より軽いスキームの方が売主にとっては進めやすくなります。

当社では、売主専任の立場で多数の買手候補にアプローチし、できるだけ良い条件を提示していただくことを目指しています。
会社売却を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。
ご相談をLINEまたは下記のフォームからお申し込みください。
未来の可能性を最大化する第一歩を、
ぜひ一緒に踏み出しましょう。

【無料査定のご案内】
会社売却を成功させたいとお考えの経営者の皆様、まずは自社の価値を把握するところから始めましょう。
会社売却2.0
チャンネル登録&いいね!
のお願い
会社売却2.0チャンネルでは、会社売却を成功に導くためのノウハウを定期的にお届けしています。
- 後継者不足で悩むオーナー様
- 事業承継の選択肢としてM&Aを検討している方
- 会社の将来を考え、売却や連携を考え始めた方
チャンネル登録と「いいね!」をよろしくお願いします。
今後も最新情報をどんどん発信していきますので、チェックしてみてください。
会社の価値を最大限に引き出します会社売却2.0本気の
無料査定無料相談のご案内
社長様の理想を私たちに
ぶつけてください仲介会社から提案を
受けているが他の専門家の
意見も聞きたい仲介会社に依頼したが
思うように買い手候補の
提案が受けられない依頼するかわからな
いが軽く話を聞いてみたいどんな条件で売却できそうか
相談したいなどのご相談も大歓迎です!お気軽にご相談ください
この記事を書いた人
会社売却2.0


