株式会社社長の専門学校
『会社売却2.0/
М&Aセルサイドアドバイザー協会』
代表 田中英司(たなかえいじ)
- M&Aのプロアドバイザーかつ現役経営者。
- ゼロから創業した会社を上場させ、買手・売手の両方を社長として経験。
- 上場企業を引き継いだ後、複数社の会社を経営。
- M&Aアドバイザーとしても、年商数千万~数十億のM&Aを成功に導く。
●「会社を売りたい。でも、経営はまだ続けたい」。そう考える経営者もいます。
会社の将来を考えて株式は譲りたい一方で、事業や従業員からすぐに離れるつもりはない、ということです。
先に結論をお伝えすると、株式を売却した後も経営に関わることは可能です。社長自身はまだ働ける一方、会社がこの先成長するための投資を、一人で背負い続けるのは難しい。そんなときに、資本力のある買手へ所有を移し、自分は現場に残るという選択肢があります。
会社売却2.0では、経営を続けたい社長が会社を売る理由と、買手への伝え方をご紹介いたします。
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今売る理由と買手の
本音
会社を売却したからといって、すぐに経営から退く必要はありません。
「株式を譲渡すること」と「会社の経営を続けること」は別の話です。会社の所有者は買手に変わりますが、買手と合意できれば、売主が社長や役員として残り、引き続き経営を担うことができます。
売却後も「3年間は社長を続けたい」「5年程度は経営に関わりたい」といった希望を、売却条件として買手に伝えることも可能です。
ただし、希望がそのまま通るとは限りません。残留期間、役職・権限、報酬などについて、売却前に買手とすり合わせておくことが重要です。
つまり会社売却は、必ずしも「経営者を辞めること」ではありません。株式を売却した後も、経営を続けるという選択肢があります。
●社長を続けるか、
別の立場で関わるか
売却後も経営を続ける場合、代表取締役社長として残るのか、会長など別の立場で経営に関わるのかによって、買手との交渉は変わります。
買手によっては、グループ会社の社長を自社から派遣する方針があり、売主が代表取締役として残ることが難しい場合もあります。一方で、会長などの立場で経験や人脈を生かし、引き続き事業に関わることも可能です。
会社売却2.0では、肩書だけにこだわらず、売主が売却後も力を発揮できる「しかるべき立場」を重視して買手と交渉します。
役職や報酬、残留期間については、関連記事「会社売却後も社長として残れる?」で詳しく解説しています。
なぜ、経営を続けたいのに株式を売るのか
買手からすると、「まだ経営を続けるのに、なぜ今売るのか」と疑問を持つことがあります。業績悪化など、表に出ていない問題を警戒される可能性もあるため、売却する理由と、売却後も経営を続けたい理由をセットで説明することが大切です。
次の成長に必要な投資を、
別のオーナーと進める
例えば、経営者自身はあと5年、10年10年と働けても、その間に引退を見据える一方、会社は10年後、20年後、その先を見据えて投資を続ける必要があります。
店舗の拡大、設備投資、人材育成など、会社の成長には資金とリスクが伴います。経営者本人は今の規模で十分でも、従業員や幹部の将来を考えれば、成長を止めることが最善とは限りません。
そこで、資本力のある買手に株式を譲り、今後の投資リスクは新しいオーナーに担ってもらう。売主はこれまでの経験を生かして経営を続け、事業の成長に貢献する。
このような役割分担であれば、経営を続けながら株式を売却することには十分な理由を説明できます。

大きなグループに入ることで、
事業の可能性が広がる
自社だけでは難しかった成長も、買手のグループに入ることで実現できる場合があります。例えば飲食事業なら、大手チェーンの資金力や仕組みを活用して、既存の業態をさらに広げることも可能です。
売主にとっては事業を成長させる資金や仕組みが得られ、従業員にとっても新しい役職や仕事の機会が広がります。
一方で、グループ入りによって働き方や求められる水準が変わることもあります。自社が目指す成長と、買手が提供できる環境が合っているかを確認することが大切です。
所有者としての重荷を下ろし、
経営に集中する
オーナー経営者は、会社の成長だけでなく、今後の投資や事業リスクも自ら背負います。しかし、会社を売却することは、仕事をやめることではありません。
株式を譲渡してオーナーとしての投資リスクから離れながら、経営者として事業運営を続けるという選択もできます。
「まだ経営は続けたい。しかし、これからの投資リスクを一人で負い続けたくない」という考えも、会社売却の一つの理由になります。
会社売却2.0では、こうした売主の希望を整理し、売却後の役割も含めて買手に伝えることを大切にしています。


●売却理由は、買手に
どう説明する?
例えば、「まだ経営は続けたいが、次の10年、20年に向けた投資を一人で担うのではなく、買手の資本や事業基盤を活用して会社をさらに成長させたい」という考えは、売却理由の一つになります。
買手には、次の3点を分けて説明すると伝わりやすくなります。
- 買手に何を期待するのか
買手の資本や事業基盤を活用して、どのような成長を目指すのか - なぜ今、売却するのか
今後の投資や、従業員の成長をどう考えているか - なぜ売却後も経営を続けるのか
自分がどのような役割を担い、事業に貢献するのか
大切なのは、売却理由を良く見せることではありません。業績や経営上の課題も含めて正しく伝え、「なぜ売るのか」「売却後に何をするのか」を買手に理解してもらうことが重要です。


●買手は、売主が経営に残ることをどう考える?

買手の考え方は一社ごとに異なります。買収後の社長を自社から派遣する方針の買手であれば、売主がそのまま社長を続けることは難しい場合があります。
一方、買収後も事業を安定させ、顧客や従業員との関係を引き継ぎたい買手にとって、現オーナーが一定期間経営に残ることは大きな安心材料になります。売主の経験や事業ノウハウを引き継ぎながら、買手の強みを加えて成長を目指せるからです。
私の経験では、現オーナーが長めに残ることを歓迎する買手は7~8割程度いる印象です。ただし、役職や残留期間などの条件は買手によって異なります。
売却後に残る希望は、買手探しの段階で伝える
「売却後も残りたい」という希望だけでは、買手も判断できません。
会社売却2.0では、希望する役職・残留期間・報酬などを早い段階で伝え、買手の意向を確認します。
複数の買手が難色を示す場合は、役職・期間・報酬のどこが合わないのかを確認し、条件を見直します。交渉の終盤になって初めて伝えるのではなく、買手探しの段階から条件をすり合わせておくことが重要です。

●すぐに退任したい場合ほど、買手探しが難しくなることも
「会社を売却したら、すぐに引退したい」という希望もあります。
ただし、経営者が顧客との関係や重要な意思決定を一人で担っている場合、買手は「退任後も事業を安定して続けられるか」を心配します。
後任をすぐに用意できなければ、買手が見つかりにくくなったり、希望する条件での売却が難しくなったりすることもあります。
そのため、売却後も一定期間残り、後任への引継ぎができる状態の方が、買手にとっては安心です。
将来、会社売却を考えているのであれば、「すぐに辞めなければならない状況」になる前に売却を検討することが、買手や条件の選択肢を広げることにつながります。


まとめ
※経営を続けたいからこそ、売却を選ぶことがある

株式を譲渡しても、買手と合意できれば、売主は経営に関わり続けられます。その際は「なぜ今売るのか」を説明し、売却後の役職、報酬、残る期間を条件として明確にすることが欠かせません。
現オーナーが残ることを歓迎する買手もいますが、代表者を自社から選びたい買手もいます。
自分がどんな形で事業に関わりたいかを先に整理すると、条件の合う相手を探しやすくなります。

会社売却2.0では、株式を譲った後も経営を続けたい方のご相談をオンラインで受け付けています。
希望する立場や引継ぎの期間を含めて検討したい方はご相談ください。
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