この記事の監修者
株式会社社長の専門学校
『会社売却2.0/
М＆Aセルサイドアドバイザー協会』
代表 田中英司（たなかえいじ）
- M&Aのプロアドバイザーかつ現役経営者。
- ゼロから創業した会社を上場させ、買手・売手の両方を社長として経験。
- 上場企業を引き継いだ後、複数社の会社を経営。
- M&Aアドバイザーとしても、年商数千万～数十億のM&Aを成功に導く。
会社の売却を進める際には、アドバイザーに依頼すると手数料が発生します。手数料はどのように決まり、どの程度が妥当なのかを解説します。
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目次
M&Aの手数料はいくらが妥当？
手数料の決まり方や
適正な金額とは
１．会社を売却する時にアドバイザーに払う手数料ですが、
いくらくらいが
適正だと思いますか？
役務とのバランス、これが重要になります。
どこまで手伝っていくらかかるのか、
また、譲渡金額とのバランスを見ます。
譲渡金額が大きくなったからといって、
手数料が何十倍になるわけではありません。
ひとつの回答として、当社が採用しているのが、譲渡価格に基づくレーマン方式という手数料体系です。
- 5億円まで：5％
→5億円で売ると2,500万円（5億円×5%） - 5億円超〜10億円まで：4％
→10億円で売ると、先程の2,500万円にプラス2,000万円（5億円×4%）で合計4,500万円（約4.5％） - 10億円超〜20億円まで：3％
→20億円で売ると、先程の4,500万円にプラス3,000万円（10億円×3%）で合計7,500万円（約3.75％）
さらに譲渡金額が大きくなると3％に近づいていく構造です。
これは、レーマン料率といって多くの仲介会社が使っています。
ただしこの料率を「何に掛けるか？」が非常に重要で、当社の場合は譲渡金額（オーナー様が実際に受け取る金額）に対して料率を掛けています。
では、1億円の案件はどうなるかというと、当社では最低料金を900万円に設定しています。
1億8,000万円までは900万円、2億円になると1,000万円、3億円になると1,500万円となっておりまして、成功報酬として頂きます。この報酬の中から弁護士費用をお支払いしますので、成功報酬に弁護士費用が含まれている形になります。
仲介会社の多くもレーマン料率を採用していますが、いかに手数料を高く取るかということで、株式価値に負債を足した金額に料率を掛ける企業価値レーマンや、総資産レーマンを採用している会社など、総じて手数料が高い仲介会社が多いです。
２．仲介会社の手数料の特徴を
教えてください
仲介会社の多くは、売り手と買い手の両方から手数料をもらっています。
ただし、最初に「売り手の案件を受注すること」が重要なので、売り手からの手数料を安く見せるケースが多いのです。
ところが実際には、買い手から高額な手数料を取っている仲介会社が少なくありません。
一方、当社のように「売り手だけのアドバイザー」として片側支援に徹する場合、売り手の利益のために全力で動くことができます。しかし、買い手と売り手の両方を担当する仲介会社は利益相反になってしまうため、どちらかの味方になることができません。そのため、主な役割は「縁つなぎ」になります。
■さらに注意したいのは、大手仲介会社の最低手数料です。
大手の仲介会社は最低手数料2,500万円からというところも少なくありません。
1億円の案件が成立したとして、
2,500万円の手数料…高すぎませんか？
5,000万円の案件でも手数料2,500万円とられたら、やってられませんよね。
３．安いのに損してる？
注意したいパターン
仲介会社も最近、色々な料金パターンが出てきました。
■ 某大手仲介会社では、もともと最低手数料が2,500万円でしたが、飲食店の小規模案件などでは、「最低手数料500万円〜」とプランを始めた会社があります。
なぜ安くできると思いますか？それは買い手側から手数料をたくさん頂くからです。
そして、なぜ買い手からたくさんもらえると思いますか？
これは、私の主観も入っていると思いますが、おそらく安く買えるように図らうからです。
■実は最近、「どう見ても安すぎる査定」を提示された売り手さんから相談を受けました。
それが、先程の大手仲介会社だったんです。今は、私がアドバイザーとして売却支援のご依頼を頂いています。私はその仲介会社が査定された金額の1.8倍の譲渡価格で進めさせていただいています。
100〜200万円では必要費用等の対応が難しいため、当社は最低900万円に設定しています。しかし、ご相談には無料で対応しています。また弁護士等も必要であればご紹介しています。
■ 大手の仲介会社でも柔軟に対応してくれる会社もあれば、まったく応じない会社もあります。
私たちが買い手探しを仲介会社にお願いする時に、案件によって「最低いくらまで下げられますか？」と交渉することもあります。
1億円の譲渡金額で、両手から2,500万円取る仲介会社…これは意味がわかりません。
この場合、売り手の手残りは7,500万円。買い手は1億＋2,500万円＝1億2,500万円の負担になってしまいます。しかし、今でもそのような仲介会社はたくさんあります。
- 売却価格：1億円
- 買手の負担：
1億円＋2,500万円（手数料）＝1億2,500万円 - 売手の手残り：
1億円 − 2,500万円 ＝ 7,500万円
手数料が例えば、2,500万円ではなく1,000万円ならば、買い手は1億1,500万円でも買収をすることができ、売り手の手残りは1億500万になります。
（※買手の負担を1億2,500万円に合わせた場合）
- 売却価格：1億1,500万円
- 買手の負担：
1億1,500万円＋0円（手数料）＝1億2,500万円 - 売手の手残り：
1億1,500万円 − 1,000万円（手数料）＝ 1億500万円
手数料が2,500万円の時は売り手に7,500万円しか残りませんでしたが、1億500万に増えるんです。
だから私は、1億円の案件なら最低900万円はいただくけれど、両手で2,500万円も取る必要はないと考えています。
４．改めて、会社売却の適切な
手数料はいくらくらいだと
思いますか？
譲渡価格が1億円ならば、1,000万円くらいではないでしょうか。
手数料が300万円と言われてしまうと、少し難しいですね。
2億円で5%で1000万円、さらに譲渡価格が下がってきても10%までが妥当だと思います。
しかし、先程の話で、譲渡価格1億円に対して、2500万円ずつ持っていく会社もあります。
また、売り手からは安い手数料で取るが、買い手からたくさん頂くという会社もあります。
このあたりをよく考えて、アドバイザーは選んでいただきたいと思います。
５．買い手側の手数料について、仲介会社に質問しても
良いのでしょうか？
質問しても良いと思います。ただ、どこまで答えてくれるかはわかりませんが。
聞いたら教えてくれる場合もあると思いますので、聞いて頂くと良いと思います。
私は売り手のアドバイザーなので、買い手探しを依頼している仲介会社に聞くのは難しいんです。
■注意してください。
小さな案件の場合、買い手からの手数料が高すぎると、買い手の予算がその分減ってしまいますので、買い手探しは苦労すると思います。売り手の手数料が安くても、買い手からたくさんの手数料を取る仲介会社もいるので注意してください。
■ 進めてよいのは
手数料が高くても、オーナー様が納得されるのであれば、進めてよいと思います。
不動産取引の場合は3％です。しかし、M&A は不動産取引より複雑です。
ですので、レーマン方式の料率は妥当だと思っています。
小規模な案件では手数料率が高くなるため、難しい面もあります。手数料が高く感じられる一方で、実際には相応の手間がかかるからです。だから当社では「最低900万円」で進めさせて頂いております。
まとめ
アドバイザーを選ぶときは、手数料率だけでなく「何に料率を掛けるのか」「仲介なのか、FAなのか」を必ず確認してください。
・仲介会社の場合は、買い手側の手数料についても、遠慮せずに質問する
・仲介だけでなく、売り手側に立つFAという選択肢も含めて複数社を比較する
といった点を意識していただきたいと思います。
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