M&Aの買い手に投資ファンドがおすすめな理由。買収されるとどうなる?

株式会社社長の専門学校
『会社売却2.0/
М&Aセルサイドアドバイザー協会』
代表 田中英司(たなかえいじ)

  • M&Aのプロアドバイザーかつ現役経営者。
  • ゼロから創業した会社を上場させ、買手・売手の両方を社長として経験。
  • 上場企業を引き継いだ後、複数社の会社を経営。
  • M&Aアドバイザーとしても、年商数千万~数十億のM&Aを成功に導く。

買い手でよくある候補として、「ファンド」と「事業会社」があります。
今回は、この2つの違いと、「ファンド」がおすすめな理由について解説させて頂きます。
これから会社の売却を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

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M&Aの買い手に投資ファンドが
おすすめな理由。
買収されるとどうなる?

会社売却2.0

ファンドというのは、簡単に言えば「お金を運用して増やす組織」です。
機関投資家や個人投資家からお金を集め、その資金を投資して利回りを出し、出資者に配当を還元します。

一方で、事業会社は自社の本業とシナジー(相乗効果)が見込める事業を買うケースが多いです。
例えば、自動車関連の会社なら部品メーカーを買う、関連する新規事業を買うといった形ですね。

M&Aにおいて「ファンド」と「事業会社」は、会社を買収する目的や判断基準が大きく異なります。

  • ファンド:投資で利益を得ることが目的
  • 事業会社:事業の拡大・強化が目的

ただ、日本ではまだ「ファンド=ハゲタカファンド」という古いイメージを持つ方も多いです。昔は“お金の猛者”のような印象もありましたが、現在は必ずしもそうではありません。

いろんなタイプのファンドがあり、見極めて選ぶことが大切です。
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事業会社はシナジーが強く出る会社であれば高値を付けてくれますが、基本的にはファンドより安い水準で提示してくることが多いです。

ただし、「すごく相性がいい」と判断した場合、事業会社でも非常に高い価格を提示してくることがあります。
ファンドは基本的に大規模な案件を狙う傾向にあります。

EBITDAでいうと、1億円以下の案件を買うことはなかなかありません。2億円~3億円以上、できればそれ以上の案件を好みます。これがファンドの一般的なレンジですね。

ただし、なかなかこのような案件は出てきません。事業会社の方が小規模でも買ってくれるケースは多いです。

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理由の一つは、
資金調達の仕組みが違うからです。

ファンドは自己資金だけで買うのではなく、「LBOローン(レバレッジド・バイアウト・ローン)」という借入を活用して買収します。金融機関から買収用の資金を借りるM&Aの手法です。

たとえば、30億円の会社を買うとき、30億円すべてを自己資金で出すと、30億円に対して利回りを考えなければなりません。
しかし、半分の15億円を銀行から借りれば、自己資金15億円に対する利回りを考えれば良いため、会社の価値が上がった際には、自己資金に対する利回りはより増加します。
つまり、銀行から資金を借りてレバレッジ(てこ)を効かせる仕組みで、それを利かせられるのがファンドの強みです。

一方、事業会社や上場企業は基本的に自己資金で買うため、リターン効率が下がり、高値を出しにくいという構造的な差があります。

ファンド事業会社

購入資金
自己資金15億
+借入15億円
自己資金30億円
利益年2億円と仮定年2億円と仮定
利回り2億円 ÷ 自己資金15億 → 13.3%2億円 ÷ 自己資金30億 → 6.6%

→ 同じ会社を買っても、
ファンドは2倍の利回りを得られる。

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ただ、日本ではまだLBOローンの文化が成熟していません。

数千億円規模の大型M&Aでは普通に行われますが、30億円以下の中小案件では大手銀行が「小さすぎて取り組めない」と判断することが多いんです。最近は地方銀行や信金などでも取り組みが増えていますが、まだ一般的とは言えません。
実際、LBOローン比率は50〜60%が多く、中には80%までレバレッジをかけるケースもあります。ただし、リスクが高すぎるため、60%前後が現実的な水準です。例えば、5億のうちの2億5千万をLBOローンで組む場合は、この金額レンジであれば、地銀や信金の範疇になります。

日本でこのLBOローンがもっと広まれば、M&Aはさらに活性化すると思います。

整理すると、ファンドはローンを使うので、利回りが大きくなるため、高く買うことができます。

上場会社や事業会社は自己資金で取り組むので、高い値段を出しにくいという構造的な問題があります。

ただし、LBOのロットの問題や、ファンドの運営の問題があって、ファンドは大きな案件でないと手を上げて来ない形になります。

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ただし、譲渡金額3億円のような案件ではファンドは手を挙げません。

例えば大きなファンドがあるとします。仮にそのファンドが300億円規模で「介護」「調剤薬局」「飲食」いった業界に投資をしたいと考えている場合、通常は、1店舗だけの施設や飲食店、あるいは1つだけの調剤薬局といった小規模な事業を単独で買収することはあまりありません。

しかし、もしそのファンドが、すでに多数の店舗を展開しているチェーン事業を保有している場合は話が変わります。ある特定のエリアに店舗を増やしたいといった戦略がある場合には、1店舗だけでも「買いたい」と考えるケースが出てきます。
また、もし「これは面白い!」と思えるような業態があれば、新たな業態開発の一環として、1店舗だけでも買収することがあります。
このように、既存の事業に加えて小規模な事業を積み重ねていく形で投資を行う戦略を「ロールアップ投資」といいます。

このようになると、ファンドは単にお金を預かっている組織ではなく、ホールディングス会社と同じで、実質的にはある種の事業会社と同じ動きとなり、そのファンド戦略に合致すれば小さな案件でも手を上げてくれることがあります。

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ファンドのデメリットは一般的には「シナジーが効きにくい」と言われます。

 ただし、短期間で売却して利益を出すファンドもあれば、長期的に事業を保有するファンドもあります。

ある程度運用期間が長いファンドの場合は、先程お伝えしたように、事業会社のようにシナジーが出るケースも多いです。

実際には、いくつか種類があります。

  • 短期で売却益を狙うファンド(3~7年以内)
  • 長期的に事業を育てて収益を出すファンド

運用期間が長めのファンドでは、買収先とのシナジーを重視して、まるで事業会社のように経営に関与することもあります。
ファンドだから短期で売り飛ばすという時代ではありません。
大切なのは、“ファンドだからダメ”と決めつけず、そのファンドの戦略や姿勢をよく見極めることです。

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売却後も会社を大切にしてほしいという気持ちは皆さん強く持っています。

オーナー経営者としては、「社員の雇用が守られるのか」「会社が成長を続けるのか」と気になることでしょう。

ただし、事業会社や上場会社に売ったから安心と、果たして言えるでしょうか?
その会社が5年後、10年後にどうなっているかは誰にもわかりません。
どんな買い手であっても、必ずしも永続的に持ってくれるとは限りません。

ですので、相手の種類(ファンドか事業会社か)だけで良し悪しを決めるのではなく、自社に最も合った買い手を冷静に選ぶことが大切です。

日本は「ファンド」と聞くと、いまだに“ハゲタカファンド”のようなネガティブなイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、それは間違いです。私も複数のファンドとお付き合いがありますが、皆様、総じて上品な方で、変な方はほとんどいません。

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ファンドの中には、資金力が十分でないのに無理に買収を進めるようなケースもあります。

ファンドの規模が小さいから信用できないとは思わないですし、ベンチャー企業として、小さなファンドを応援したいという気持ちはありますが、中には悪徳な会社もあります。

自己資金が少なすぎて、LBOローンの比率を非常に高く設定するファンドであれば、当社としてもお断りしています。

一方で、堅実なファンドもたくさんあります。
要は「その会社に合ったファンドを見極めること」が重要です。

私たちも、売主様に最適なファンドかどうかをしっかり吟味して、ご提案するようにしています。

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