会社を譲渡する際に重要となる4つの注意点と、M&Aを成功させるポイントをご紹介

株式会社社長の専門学校
『会社売却2.0/
М&Aセルサイドアドバイザー協会』
代表 田中英司(たなかえいじ)

  • M&Aのプロアドバイザーかつ現役経営者。
  • ゼロから創業した会社を上場させ、買手・売手の両方を社長として経験。
  • 上場企業を引き継いだ後、複数社の会社を経営。
  • M&Aアドバイザーとしても、年商数千万~数十億のM&Aを成功に導く。

何らかの事情により、会社の譲渡を検討しなければならない場合があります。会社を譲渡するとさまざまなメリットを得られますが、多岐にわたり配慮が必要で、注意しなければならないことが多くあるのも事実です。
今回は、会社を譲渡する際の注意点とM&Aを成功させるためのポイントについてご説明します。

会社譲渡

株式譲渡

事業譲渡

会社譲渡と似た言葉に「株式譲渡」や「事業譲渡」があります。会社を譲渡することとは、具体的にどのような行為を指す言葉なのでしょうか。会社譲渡の意味から確認していきましょう。

株式譲渡は、M&Aでよく用いられる手法の1つであり、会社が保有する株式を第三者に売却することです。株式の譲渡により経営権は移動し、譲渡した会社はその対価を受け取ります。つまり、株式譲渡とは会社を売却する1つの手段であり、「会社譲渡」と同じ意味合いの言葉です。

事業譲渡とは、企業が営む事業の全部または一部を、買い手企業に譲渡する会社の売却手法です。この方法では、株式譲渡のように会社の経営権が移るわけではなく、事業のみが譲渡されます。

事業譲渡の場合、会社全体の法人格を引き継ぐわけではないため、譲渡する事業を特定し、対象事業だけが買い手企業に引き継がれます。事業譲渡もM&Aで利用されることの多い手法の1つです。

株式譲渡と事業譲渡の区別が必要

「株式譲渡」と「事業譲渡」は似ている言葉であり、いずれも会社を売る手法になりますが、いくつか重要な違いがあります。

「株式譲渡」によって会社を譲渡する際には、経営権が移行するものの法人格は残るため、従業員はそのまま会社に在籍し、新たに雇用契約を結ぶ必要はありません。
「事業譲渡」では、対象となった事業に従事する従業員は、譲渡先企業に移籍し、そこで新たに雇用契約を締結する必要があります。

「株式譲渡の場合」は、資産と一緒に負債も引き継がれますが、譲受企業としては、負債は引き継ぎたくないものです。そのため、譲渡企業側に負債が多い場合には、株式譲渡は難しく、採算性のある事業のみを売る事業譲渡が採用されるケースが多くなっています。

M&Aを進める際には、株式譲渡と事業譲渡の違いをしっかり理解し、いずれの方法が自社に合っているのかしっかりと検討することが大切です。

譲渡する企業にはどのようなメリットが生じるのでしょうか。メリットを6つご紹介します。

後継者問題が解決できる

中小企業を巡るM&Aでは、後継者不在の問題から会社の譲渡を検討するケースが少なくありません。少子高齢化が進んでいることや、かつては当たり前であった親の会社を子が継ぐという状況が変わってきたことなどが、後継者不足に影響していると考えられます。

会社譲渡は後継者問題の解決に繋がります。

会社を存続させられる

後継者がいない場合はもちろんですが、経営状態が悪化している場合、会社の存続が難しくなることがあります。そのような場合、会社を譲渡すると存続することで、会社を存続させる選択肢が生まれます。特に株式譲渡による譲渡は、法人格を維持できるため、会社名や長年続けてきた事業、技術をそのまま引き継ぐことが可能です。これにより、会社の歴史や実績を守りながら、経営の継続を図ることができます。

従業員の雇用を
継続できる

会社を譲渡するということは、事業はもちろん、従業員も譲受企業に引き渡すことになります。そのため、会社の倒産や廃業などによる従業員の失業を回避し、従業員の雇用を確保することも可能です。

従業員の生活を支えなければならない立場にある経営者にとって、会社譲渡に伴う従業員の雇用の確保は大きな安心に繋がるでしょう。

会社が成長する
可能性がある

会社を譲渡することで、経営基盤がより盤石になり、買い手企業とのシナジー効果を発揮できる場合は、会社がさらに成長できる可能性があります。会社の譲渡後に事業内容や技術が高く評価され、知名度が高まれば、譲渡企業の経営者としては非常に喜ばしいことでしょう。

売却利益を得られる

会社を譲渡すると、株式の対価として売却利益を得られます。ある程度のまとまった現金が手に入れば、経営者を引退した後の生活にも余裕を持てるはずです。

経営者保証から
開放される

オーナー企業の場合、経営者が会社の保証人となり、融資を受けているケースは少なくありません。経営者保証があると、万が一会社の経営が悪化し、融資の返済が難しくなったときには、経営者は個人の財産から弁済をしなければならないため、経営者個人の生活にも影響が及ぶことがあります。

しかし、会社を譲渡すると、会社が保有する資産や負債がすべて譲受企業側に引き継がれるため、経営者保証も解除することができます。経営者保証も解除されます。このように、経営者保証の解除は会社を譲渡する際の大きなメリットの一つです。

会社を譲渡すると、さまざまなメリットを得られますがリスクも伴います。会社譲渡の契約を締結する際には、いくつかの注意点があります。ここでは、会社譲渡時の重要となる注意点を4つ紹介します。

買い手を見極めないと
失敗のリスクがある

譲渡を成功させるためには、自分の希望に合った譲渡先を見つけることが重要です。M&Aを進める過程で、買い手企業の考えや経営能力をしっかり見極めないと、譲渡手続きや譲渡後の事業がスムーズに進まない可能性があります。

交渉がまとまらずに時間ばかりかかり、最終的に破談になってしまうこともあります。その場合、再び振り出しに戻ることになり、多くの労力が必要です。

さらに、譲渡後は譲受企業、つまり買い手企業が経営を行いますので、適切な経営ができる企業でないと、譲渡後にさまざまなトラブルが発生するリスクがあります。したがって、会社を譲渡する際に最も重要なことは、信頼できる買い手企業を見極めることです。

会社譲渡の
タイミングを見極める

M&Aや会社譲渡には時間がかかることがあります。考えている間にタイミングを逃し、最終的に会社を譲渡できなくなることも少なくありません。

たとえば、後継者不足から会社を譲渡しようとしている場合、業績が良い時期の方が評価が高くなり、より良い買い手に譲渡できる可能性があり、売却益を多く得られるかもしれません。

また、業界再編や景気の動向、経営者自身の体力や気力なども考慮することが重要です。適切なタイミングを見極めないと、社会情勢が変わったり、業績が低下したりして、買い手がつかなくなる恐れがあります。

会社の譲渡を考えたら、早めに専門家に相談することをお勧めします。

「会社売却2.0」は、会社売却を検討している企業をサポートするM&Aアドバイザーです。譲渡のタイミングで迷った場合は、ぜひお気軽にご相談ください。経験豊富なアドバイザーが、適切なタイミングについてアドバイスいたします。

従業員の処遇を確認する

会社を譲渡した後、従業員の処遇が変更されるケースもあります。譲渡後に、労働条件が変わってしまえば、従業員の雇用を守ることにはなりません。契約を締結する際には、従業員の雇用について契約書の中にしっかりと保証を盛り込むことが大切です。

M&Aについての経験がなければ、会社譲渡時の契約の細かな点まで確認できない可能性もあります。M&Aを適正に成立させるためにも、譲渡側企業をサポートするアドバイザーに相談するようにしましょう。

会社譲渡後の
ロックアップ期間を忘れずに!

会社を譲渡した後、譲渡側企業の経営者がしばらくの間、経営に携わらなければならないことがあります。これは、「ロックアップ」と呼ばれる規則で、売却後、事業がすぐに傾くようなことがないよう、スムーズな引継ぎを実現するために定められるケースがあるのです。

会社を譲渡した後、すぐに新たな事業を始めたり、趣味の時間を持ちたいと考えているケースがあるかもしれません。しかし、ロックアップが適用される場合は、指定された期間中は事業に関与し続ける必要があることを忘れないようにしましょう。

M&Aを成功させるために最も重要なのは、信頼できる買い手を見極めることです。信頼できる企業に会社を譲渡できなければ、事業の維持が難しくなる恐れがあります。

「会社売却2.0」では、スムーズに会社を譲渡するために、次のポイントを重視して買い手企業の見極めを行っています。

シナジー効果を得られる
会社であることが大前提
適正な譲渡価格でM&Aを成立させるためには、売り手企業の価値をしっかり理解できる買い手に売却する必要があります。企業価値を正しく評価できる買い手企業は、買収によって大きなメリットを得られる会社、つまりはシナジー効果を得られると考えられます。
そのために、会社売却2.0では、シナジー効果を得られる会社であるということを前提としたうえで、良い買い手の見極めを行っています。
買う意向を強く持っている会社であるか
M&Aを進める際には、譲渡企業が提出した企業情報を基に基本合意を結び、その後、細かな点を調整して最終的な契約を結びます。基本合意には法的拘束力はありませんが、当社は、基本合意は、互いが会社を売る意向、買う意向を明確にした上で結ぶべきだと考えています。
逆を言えば、基本合意までにしっかりと買う意向を示さない会社であれば、基本合意を結んだ後も交渉がまとまらない可能性が高くなります。そのため、まずは購入の意向をしっかり持った相手を見極めてから基本合意に進めることを当社は行っています。
M&Aの知見がある
会社であるか
会社譲渡を行うにあたって、譲受企業側にM&Aについてのある程度の知見がなければ、なかなか交渉がまとまらない可能性が高くなります。
譲渡する企業は、できるだけ良い条件で譲渡したいものですが、譲渡側の良い条件は譲受側の良い条件と相反するケースがほとんどです。そのため、M&Aでは、互いの条件をすり合わせて、互いが納得できるポイントを探り、合意に持ち込みます。しかし、M&Aの知見がない買い手の場合は、買い手側の主張ばかりを繰り返し、交渉が交渉が停滞することが多くなります。

「会社売却2.0」では、M&Aについての知見があり、明確な意思を持って交渉できる相手を見極めます。
スピード感を持って
対応できるかどうか
企業情報を提示した後にすぐに質問が返ってこない企業や、トップ面談での要望に対してすぐに回答を出さない企業の場合、迅速な意思決定が行われないケースがほとんどです。このような企業は、買うという意思がはっきりしないケースが多いと考えられるため、買い手を見極める際には、対応のスピード感も重要なポイントとなります。

会社を譲渡する際の最大の注意点は、良い譲渡先を見つけることです。良い買い手企業を見極められなければ、会社譲渡後にトラブルが発生する恐れもあり、また、M&A自体がスムーズに成立しない可能性もあります。

1人の経営者が、何度も会社を譲渡するケースは少ないはずです。会社譲渡の経験が少なければ、譲受先となる買い手企業を見極めることも簡単ではありません。M&Aを成功させ、会社を良い相手に譲受させたいと考えるのであれば、しっかり買い手を見極められるM&Aアドバイザーに相談すべきです。

「会社売却2.0」は、良い買い手であるかどうかは基本合意までに見極めることが大切だと考え、基本合意後には成約に至る相手を見極め、会社譲渡のサポートを行っています。
初回の相談は無料で承っていますので、スムーズかつ、適正な相手への会社譲渡を検討されている場合にはお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

会社売却2.0