株式会社社長の専門学校
『会社売却2.0/
М&Aセルサイドアドバイザー協会』
代表 田中英司(たなかえいじ)
- M&Aのプロアドバイザーかつ現役経営者。
- ゼロから創業した会社を上場させ、買手・売手の両方を社長として経験。
- 上場企業を引き継いだ後、複数社の会社を経営。
- M&Aアドバイザーとしても、年商数千万~数十億のM&Aを成功に導く。
会社の売却を検討する際、「複数の仲介会社に依頼した方が買い手が見つかりやすいのでは?」と考える方は少なくありません。確かに、一見すると選択肢が増えるように思えるかもしれません。しかし実際には、「仲介」と「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」の立場の違いを正しく理解しておかないと、思わぬリスクを招く可能性があります。
本記事では、仲介とFAの違いを整理しながら、売却活動を効果的に進めるためのベストな体制について解説します。
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目次
FAとの違いと理想の進め方を解説
1.仲介会社を複数使った方が得?まず「仲介」と「FA」の立場を整理

よくいただく質問に、「仲介業者に複数社付いてもらった方が良いのではないか」というものがあります。
確かに、3社に依頼できれば、単純計算では、「3倍の動きが期待できそうだ」と感じるかもしれませんが、もう一つ重要な論点があります。それは、相手が「売り手のFA(アドバイザー)」なのか、それとも「仲介」なのかという点です。
例えば、3社の仲介会社に依頼し、そのうちの1社が買い手候補を見つけて交渉が始まった場合、その仲介会社は“売り手社長様だけ”の味方ではありません。買い手側にも関与するため、売り手にとって一方的に有利な判断や交渉はできないのです。
つまり、仲介は必ずしも“売り手の味方”ではないという点を、まず理解しておく必要があります。


2.売り手専任のFAとは何をする存在か?

それでは次に、「売り手FAにも依頼し、同時に仲介会社にも依頼する」という形を考えてみましょう。複数の仲介会社だけに依頼するよりは良さそうに見えますが、このやり方では売り手FAの力を十分に発揮することができません。
なぜなら、売り手FAの本来の役割は、単に買い手候補を探すことではなく、交渉を円滑に進めるための土台を整える役割を担うからです。
ご依頼を受けた場合、実際に何をするのかを例を挙げて解説します。
売り手専任FAが担う最初の仕事は、社長様ご本人、そして会社そのものを深く理解することです。そのうえで、
- どんな条件で売却を目指すのか
- 何を強みとして打ち出すのか
- どんな買い手を想定するのか
といった条件整理と案件全体の設計(条件設計・ストーリー設計)を行います。

この設計をもとに、企業概要書(会社説明資料)や募集条件を整え、交渉に入れる状態まで土台を作る。
これが売り手専任FAの重要な役割です。
一方で仲介会社は、
売り手・買い手のどちらか一方の利益だけを優先する立場ではありません。
そのため、
- 誰が全体設計を担うのか
- 誰の視点で条件をまとめるのか
が曖昧になりやすい、という構造的な問題があります。
その結果、この重要な役割を誰が担うのかが曖昧になりやすいという問題が生じます。

また、買い手探索についても、私の場合は一つの方法に依存しません。
- 事業会社への直接アプローチ
- M&A仲介会社のネットワーク活用
など、複数のルートを前提とした探索設計を行います。売り手側の窓口は一本化しつつ、買い手探索は複線化する。
これにより、交渉力と選択肢を最大化できます。
そして何より重要なのは、
仲介ではない立場だからこそ、常に社長様の側に立って判断できるという点です。
条件設計から交渉、最終判断まで、一貫して「売り手にとって何が最善か」を基準に進められる。
それが売り手専任FAの本質的な価値です。
そして仲介ではない立場である以上、私は社長様の味方として判断し、売り手側の立場で交渉を進められる点も重要です。


3.いざ交渉が始まれば、FAと仲介では
さらに大きな違いが

仮に、仲介会社が買い手候補を見つけて交渉が始まる場合、仲介会社は、売り手・買い手の双方に関与する立ち位置であるため、交渉のスタート地点が「仲介契約の延長線上」で始まりやすくなります。
一方で、専任FAである私の場合は、交渉に入る前から最後まで売り手側にのみに専任した状態で交渉が始まります。この「交渉開始時点での前提条件の違い」は、実務上、大きな差となって表れます。
そして、多数の仲介会社へ依頼する場合に必ず問題になるのが、「誰が全体を仕切るのか」という点です。
多くの仲介会社は、まず買い手候補のリストアップから動きます。すると、A社から連絡が来る、B社から連絡が来る、C社で進んでいた話がNGになる、そういったことが並行して起こります。そのたびに、「次はここはダメだ」と整理したり、各社との質疑応答を捌いたり、条件提示の整合性を取ったりと、全体をコントロールする役割が必要になります。
もちろん、社長様ご自身が窓口を一本化し、条件提示から質問対応、進行管理まで“すべて対応できる”のであれば、複数仲介を回す形でも成立します。ただし実務上は、その負担が想像以上に大きくなりやすい点が論点になります。
そのため、「非専任で売り手のアドバイザーをしてほしい」と言われた場合、私としては基本的にお受けできかねます。理由は、他社がどのように動いているのかが見えないままでは、売り手側の交渉や全体設計を責任を持って進めることが難しくなるためです。


4.売り手側の窓口は
一本化するのが
おすすめな理由

最近は、非専任で受ける仲介会社も増えているようです。しかし、社長様が多数の仲介会社と付き合い、そのすべてをご自身が仕切るのは予想以上に大変です。
それよりは、売り手側を当社のようなFAに絞っていただき、責任の所在を明確にする方が良いと考えています。
そのうえで、買い手探索は非専任の形で進め、あらゆるルートの仲介会社を活用していく方が、最も合理的ではないでしょうか。当社では、実際にそのモデルで「会社売却2.0」を運用しています。
仮に私が会社を売る立場であれば、売り手側の仲介は使いません。買い手探索については仲介会社を多数使って探しますが、売り手側のアドバイザーは私自身が担うため、売り手側の仲介手数料は支払わないというという考え方になります。仲介手数料は買い手側から取ってもらう、という考え方です。
この役割を社長様が担えるのであれば、それが良いということになります。
ただし、手続き面や運用面の難しさもあります。そのため、非専任という進め方は、社長様にある程度のお時間と知識があり、自分で判断しながら進められる方に向いていると考えています。そうでなければ、おすすめできません。

5.買い手探索は
複数ルートで最大化
するのがベスト
では、「複数の仲介会社に依頼した方が、買い手候補は見つかりやすいのではないか」という点について、結論はその通りだと考えています。
だからこそ、私は売り手のアドバイザーとして支援しつつ、仲介会社を複数使い、買い手探索を進めます。当社だけが買い手を探すよりも、複数の仲介会社も使う場合の方が、買い手との接点が多くなるからです。
仲介会社ごとの特徴や強みを活かし、まずは一定期間ごとに適切に活用していきます。反応が薄い、あるいは少し違うとなれば、別の会社を追加するといった形で調整していきます。案件によっては、最初から圧倒的多数の仲介会社に一斉に当たることも可能です。
まとめ
売り手特化の支援を受けながら圧倒的多数の買い手探しを両立できる会社売却2.0
会社売却2.0の設計は、最も多くの買い手へのアプローチを可能にします。
しかも仲介ではない立場で売り手側を支援するため、売り手としての判断・交渉を前提に進められます。
売り手の社長様にとっては、会社売却2.0の仕組みがベストだと考えています。

ここまでの話は、ある意味ポジショントークでもありますが、それでも会社売却2.0は、これらの論点をすべてクリアできるように設計しています。
FAは知識が豊富で専門性の高い方も多い一方で、買い手探索が弱いFAも少なくありません。会社売却2.0は、その弱点を補う形で設計しています。
当社は複数社の仲介会社を活用しており、多数の買い手候補にアプローチできる設計をしています。
確かに、「複数の仲介会社に依頼した方が良いのでは」と感じる社長様もいらっしゃると思います。買い手へのアプローチを最大化するという点では、確かに正しい面があります。だからこそ、その考え方を実務として成立する形で運用しています。
つまり、売り手側には専任のアドバイザーとして私が付き、買い手探索はパートナーである多数の仲介会社が私を窓口として動いていく。
結果として、複数の仲介会社と直接契約するのと同等、あるいはそれ以上の効果を出せるように設計しています。
これが会社売却2.0の
ビジネスモデルです。
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