株式会社社長の専門学校
『会社売却2.0/
М&Aセルサイドアドバイザー協会』
代表 田中英司(たなかえいじ)
- M&Aのプロアドバイザーかつ現役経営者。
- ゼロから創業した会社を上場させ、買手・売手の両方を社長として経験。
- 上場企業を引き継いだ後、複数社の会社を経営。
- M&Aアドバイザーとしても、年商数千万~数十億のM&Aを成功に導く。
会社売却を検討されてから実際に売却するまでの間、売主のオーナー様にとってどこが一番しんどく、辛く感じるのかを解説させていただきます。
会社売却をお考えのオーナー様はぜひ参考にしていただけますと幸いです。
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目次
しんどさや辛さとは?
会社売却の裏側を
リアルに解説
1.最初に直面するのは
「資料集め」です。

売主様の負担はできるだけ少なくしたいと思っていますが、どうしても避けられないのが最初の資料集めです。
「会社のことについて」は、資料を見なければわからないことがたくさんあります。
そのため、「企業概要書」を作る段階で、まずは次の資料を用意していただきます。
たとえば、
- 決算書(直近3期分)
- 会計資料
- 労務関係の資料
- 不動産の賃貸借契約書
- 各種売買契約書
などです。頂けるものはすべて集めます。売主様にとっても大変面倒なことではありますが、これがないと始まらないのです。


アドバイザー側でできることは、できるだけ引き受けます

可能な限り売り手様のご負担を減らすことを大切にしています。
これらの資料をもとに、初期段階でアドバイザーが最初に行う重要な業務は、「売り手側の簡易的なデューデリジェンス(現状把握)」です。これは、売却する企業の実態を正しく理解し、適切な資料として整理・書面化する作業です。
この資料は、今後のプロセスにおいて以下のように活用します
- 買い手候補とのやり取りで提示する資料
- 株価(企業価値)を算定するための基礎資料
アドバイザリー契約の締結後、信頼関係のもとで、売り手様から会計ソフトのログイン情報やデータなどをご共有していただくことがあります。これらの情報をもとに、アドバイザーや専門スタッフが一緒にデータを分析し、資料の作成を進めます。
私たちはできるだけこちら側で対応を行い、売り手様にご用意いただく資料は最小限に抑えるよう努めています。

売り手のデューデリジェンスが一番最初の「大事な仕事」

この基礎資料を集め、会社の実態を分析していくことが、一番最初の仕事です。
当然、最初はわからないことが多いので、質問もたくさんさせていただきます。
数字をきちんと管理している会社や、事業計画書を毎回更新している会社の場合は、それほどの手間はかかりません。

中小企業によくある悩み

中小企業では、決算書や労務関係の書類が一通りそろっているケースが一般的です。
ですから、M&Aや事業売却を検討する際も、過度に身構える必要はありません。
ただし、以下のケースが非常に多いです。
- 部門別損益が出せていない
製造部門・販売部門などの部門ごとの採算が不明確だと、収益性や成長可能性を正しく評価できません。 - 経費の振り分けが曖昧
たとえば、「人件費」「家賃」「交際費」などがどの事業や部門に関係しているかが不明瞭なことが多く、本来は利益が出ているはずの事業が赤字に見えてしまう…ということも。 - 「頭の中」では把握できていても、第三者には伝わらない
多くのオーナー様は、感覚的に重要な数字を把握して経営をされています。
しかし、第三者が見て分かる形にしておかないと、正当な評価がされません。
※「正しい情報を“見える化”する」ことが、価値を高める第一歩になります。

買い手側からは、買い手側の基準に沿った資料の準備や分析が求められる

そのため、ここは都度一緒に考えていくしかありません。
「全部任せたから、アドバイザーが後はやってよ」と言われても、資料がなければ、やりようがないのです。
入口で手を抜くと、後で困ったことに・・
以下の問題が出てきます。
- その後のやり取りに影響する
- 最初の株価算定にも影響する
- 将来、買い手側からの調査で問題が出てくる
入口でしっかりやることは、トータルの面倒やコストを下げることと同じなのです。
最初の作業は、「めんどくさいな…」と
思うオーナー様も多いと思います。
では実際に会社売却を進めるとき、
どんなところがしんどく感じるのか。
次は、その話に進んでいきます。

2.買い手候補の確認作業が、
想像以上にしんどい

次のステップでは、「どの買い手に声をかけるか」を決めていきます。
まず、売り手企業の情報をまとめた「企業概要書」をしっかり作成します。そのうえで、買い手に最初に送るための「ノンネームシート」を作ります。
ノンネームシートは、
- 会社名や社長の名前などは伏せたまま
- でも「どんな会社か」「買う価値があるか」は判断できる
という、非常に難しいバランスで情報を伝える資料です。
この資料を買い手候補リストに送り、
興味を持ってもらえるかどうかを見ていきます。


買い手候補リストは一度に大量に出てくる!

当社は、買い手探しを、複数のM&A仲介会社様と連携して進めていきます。
そのため、買い手候補リストがどんどん出てきます。これが本当に多いです!
ケースバイケースですが、1つの仲介会社から、1回ごとに数百社の買い手候補先が出てくることも珍しくありません。

オーナー様自身で、リストの確認が必要です
交渉候補先の選定について
事前にオーナー様にヒアリングを行い、「この会社には情報を出したくない」「検討先から除外してほしい」という明確なご要望がある場合は、最初からその企業をリストから除外いたします。
たとえば:
- 過去に付き合いがあった
- 因縁がある
- 絶対に関わりたくない相手
このような企業には、こちらから情報を提供することは一切ありません。
一方で、それ以外の候補企業については、オーナー様とご相談しながら個別に確認を行います。
たとえば:
- こちらの会社は検討対象として問題ありませんか?
- この企業に対して、情報提供しても大丈夫でしょうか?
といった形で、一社ずつ丁寧に確認しながら進めてまいります。

NDA(秘密保持契約)後なので、過剰に精査するご心配は不要です

数百社のリストをチェックするのは、売主であるオーナー様にとって手間のかかる作業かもしれません。
Excelで、ドンと200社分送られてきたと思ったら、4日後にまた200社、さらに追加で200社、ということも実際にあります。
ここはどうしても手間をかけていただかないといけない工程です。
ただしご安心ください。ルールとして、NDA(秘密保持契約)を締結した上で資料をお渡ししています。そのため、相手が見たからといって、すぐに何かトラブルが発生するというようなことは制度上も慣習上も、まず考えられません。
過剰にご心配いただく必要はありませんが、ご確認作業そのものは避けられない工程となります。
ご負担をおかけいたしますが、何卒ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

3.興味を示した買い手への
対応が始まる

打診の許可を出した買い手候補のリストの中から、「興味があります」「話を聞きたいです」という買い手が出てきます。ここで、 面談に進むかどうかを判断する必要があります。
面談前の質問対応は、意外と大変です
買い手が面談を希望してくる段階では、すでに「買いたい」という気持ちがある程度固まっています。
その分、面談の前からたくさんの質問が寄せられることが多く、対応に手間がかかります。
ただし、どんな質問にもすぐに答えられるわけではありません。
タイミングによっては、こうお伝えすることもあります。
- 「申し訳ありませんが、今の段階ではお答えできません」
- 「もう少し進んでから、直接お会いしてからにしましょう」
という判断もします。
初期段階では、社内でも情報が整っていなかったり、即答できない内容も出てきます。
そのため、いい加減に答えるわけにはいかないので、
- 「今は資料がなく、想定できません」
- 「少し時間をください」
と、丁寧に対応することが大切です。
曖昧な回答を避け、信頼関係を損なわないよう注意が必要です。


質問のやり取りは、すぐ成果に直結しない
質問対応をしたからといって、すぐに相手が決まるわけではありません。
ただ、このやり取りを通じて、アドバイザー自身が会社理解を深めたり、オーナー様に聞かなくても答えられる部分が増えるという、後々の交渉に役立つ効果があります。
例えば、会計ソフトや労務ソフトなどのシステムから確認できるものは、こちらで調べて回答します。
大きな案件になると、買い手からの質問項目は数百項目~千項目、さらに細分化すれば、それ以上になることもあります。もちろん、全部オーナー様に質問し回答を頂くわけではありません。
明らかにこちらで判断できるものは当社で処理し、どうしても分からない項目のみをオーナー様に確認させていただきます。また、その中間のグレーな項目もあります。
この質問のやりとりが繰り返される中で、「煩わしいな」と感じられることがあるかもしれません。
ですが、このプロセスをしっかり積み重ねることで、売却の成功確度が高まるのです。


4.買い手候補が決まってからが
本番!
デューデリジェンス(詳細調査)の乗り越え方
買い手候補が決まり、トップ面談も無事に終わると、次に待っているのが「デューデリジェンス(DD)」という買い手側の詳細調査です。このプロセスは精神的にも肉体的にも負担が大きく、想像以上に大変です。特に、買い手からは経営のあらゆる面について、ネガティブに感じるような質問が多く寄せられるため、売主にとってはストレスを感じやすい場面です。
アドバイザーの重要な役割
ここで、私たちアドバイザーの出番です。
- ネガティブな質問をそのまま伝えるのではなく、表現を柔らかくしたり、聞き方を工夫したりして、オーナー様が不快にならないよう配慮します。
- 時には、買い手側に対して「それは少し違います」としっかり主張する場面もあります。
私たちの最終的な目標は「成約(クロージング)」です。そのため、対立ではなく、冷静かつ丁寧な調整を重ねていきます。
私は、言葉を丸める、聞き方を変える、オーナー様の気分を害さないように慎重に対応することを常に意識しています。
質問対応は2〜3ヶ月続くことも
デューデリジェンスは、1〜2週間で終わることはまずなく、内容によっては2〜3ヶ月以上続くこともあります。売主様にとっては根気のいる期間になります。
デューデリジェンスが終わると、次のステップへ
無事にDDが完了すると、次は以下のフェーズに進みます:
- 株式譲渡契約書の作成
- クロージング条件の最終整理
この流れを丁寧に進めていくためにも、アドバイザーのフィルター機能と交渉力が非常に重要です。


クロージング前にも、
やることがたくさんあります
基本合意を結んだ後も、すぐに売却が完了するわけではありません。
最終的な実行日(クロージング日)や、譲渡金の支払日、引き継ぎの進め方などを決めなければいけません。
たとえば、オフィスや店舗などを借りている場合、賃貸借契約書に「COC条項(Change of Control)」が含まれているケースがあります。これは、会社の株主や代表者が変わるときには、貸主の事前承諾が必要になる可能性があるというものです。
このような場合、アドバイザーが前面に立つと、かえって話がこじれることもあるため、オーナーご本人に対応していただく場面が出てくることもあります。
また、従業員への伝え方も大切なポイントです。
特に幹部社員に対しては、
- いつ伝えるか?
- どう伝えるか?
を、状況を見ながらアドバイザーと一緒に慎重に考えていきます。

買い手候補が決まってから6〜9か月、
場合によってはそれ以上かかることも
相手がすぐ決まれば、6か月程度で進むこともあります。
ただ、決まらない場合は、9か月やそれ以上かかるケースもあります。
相手探しの期間については、会社によって本当に読めません。

ブレークしたときの精神的ダメージ
買い手候補が見つかり、基本合意をした後でも、ブレークする場合があります。そのときのショックは大きいです。
例えば、野球にたとえると、「7回まで投げて負け、延長12回まで戦って、最後に逆転負けした」ような感覚です。
勝てば疲れは取れますが、途中で終わる場合のダメージは大きいです。
だからこそ、アドバイザーの存在がとても大切です。
交渉の実務面の負担はもちろん、メンタル面のサポートまで、売主と一緒に背負って進めていきます。
売却は「気楽なもの」ではありません
会社売却というのは、自分が作ってきたものを売るという重大な決断です。簡単に済まそうと思わないで欲しいですし、気楽なものではありません。実際には、体力も精神力も使う、しんどいプロセスになることがほとんどです。だからこそ、私たちアドバイザーも一緒になって頑張ります。


5.アドバイザー選びが
大切な理由
M&Aの成功には、どのアドバイザーを選ぶかが大きく影響します。
すべてのアドバイザーと比べたわけではありませんが、私はかなり高いレベルで、売り手様の負担をどう減らすか、どうしたら少しでも楽になるかを考えて進めています。
だからこそ、会社売却をしようと思ったとき、
- どの業者に依頼するのか
- 自分がどこまで動く必要があるのか
といった点を、事前にアドバイザーに聞いておいた方がいいと思います。
案件の規模による違い
【比較的シンプルなケース】
- 売上1,000万円規模
- 1店舗だけの事業
- 個人事業での売却
こういった小規模の案件であれば、手続きも比較的簡単で、売却までの負担もそれほど大きくはありません。
【対応が難しくなるケース】
- 売上が数十億円ある
- 譲渡金額が数十億円になる
このような大きな案件になると、状況は一変します。
買う方も、売る方も、どちらも大変です。
売り手も買い手も、慎重に進める必要があります。20〜30億円規模の案件であれば、即決する買い手はまずいません。しっかりとした企業であればあるほど、細部まで徹底的に調査を行います。
だからこそ、実績と信頼のあるアドバイザーに相談し、サポート体制や進め方をよく理解したうえで、適切な選択をしていただくことが、成功の第一歩になるのです。

6.売り手と買い手の
「パワーバランス」の話

少し余談ですが、売り手と買い手のパワーバランスは場合によって変わります。
■独占交渉前(売り手優位)
- 複数の買い手候補を比較できるため、売り手が主導権を握る。
- 極めて稀だが、超優良企業であれば独占権を与えず複数社を競わせる手法もある。
■独占交渉中(買い手優位)
独占交渉権を渡した瞬間、買い手は「1社」に絞られます。
- 売り手は「破談のリスク」を避けるため、一定の譲歩や忍耐が求められる。
- 買い手の徹底した調査は「事後の全責任を負う覚悟」の裏返しでもある。
■譲渡完了後(売り手優位)
逆に、譲渡が完了した瞬間、パワーバランスはまた売り手に戻ります。
- 契約成立後は、買い手側の自己責任。後から文句を言っても仕方がないからです。
- 後戻りできない以上、買った後で不平を言わず「腹を決めて経営する」のが誠実な買い手のあり方。


7.M&Aの「終盤の苦しみ」とアドバイザーの役割

終盤になると、細かい話、嫌な話、面倒な話が増えます。でも、それは仕方ありません。
■M&Aの終盤が最も過酷なのは「当然」のこと
M&Aは終盤に近づくほど、細かく面倒な話や、精神的に負担のかかる議論が増えていきます。しかし、これは避けて通れません。譲渡が完了した瞬間、すべての責任を引き受ける買い手側にとって、「さあ、あとは頑張れよ」と言われる世界です。
契約上のルールも大切ですが、本質的には「あとは任せた」と言える状態を作るための、産みの苦しみと言えます。
■規模に応じて、大変なのは当たり前
会社の規模が大きくなれば、その分だけ確認事項も増え、売り手様の負担は大きくなります。私はアドバイザーとして「精一杯寄り添い」共に進む伴走者でありたいと考えています。
■オーナー様が途中で弱音を吐く瞬間をどう乗り越えるか
進んでいく中で、「もうやめようかな」と思う瞬間は、必ずあります。しかし、条件が一定の範囲に収まっていたり、すでにかなり進んでいる状態でやめるのは、合理的ではありません。
基本合意の条件が維持されているなら、同じ条件をもう一度出せる保証はありませんし、中断している間に経営環境が変わるリスクもあります。
私は事前に情報をしっかり整理し、大きな「悪いサプライズ」が出ないように進めます。そのため、基本合意の金額から安易に譲歩するつもりはありません。
■フィルターをかけるのがアドバイザーの仕事
買い手の言葉が、そのままオーナー様に刺さらないように、「フィルターをかける」ことが私の仕事です。「感情論は一度、抑えてください」とお願いすることがあります。
私は買い手には割と言いたいことを言いますが、売り手には、調整した形で伝えます。
■100点満点の交渉は存在しない
正直に言うと、売り手側の一方的な感情や、理屈として通らない部分が、3〜4割くらいあることもあります。しかし、それが交渉というものです。
M&Aに100点満点の正解はありません。
譲るところは譲り、譲らないところは譲らない。常に全体像を見ながら、トータルで利益を最大化する判断が求められます。
■結びに
この仕事は、簡単に終わるものではありません。それでも最後に、「やって良かった」「納得できた」そう思ってもらうことが、アドバイザーの仕事だと思っています。その瞬間のために、私はラインを引き、最後まで粘り強くサポートし続けます。

まとめ
この動画では、会社を売却することを決めてから、クロージングまでに、どんな面倒さや、しんどさがあるのかをお話ししました。
会社売却は、大きなプロジェクトです。
やると決めたら、腹を決めて臨んでください。
私たちもオーナー様としっかり向き合い、一緒に進めていきたいと思っています。
ご相談があれば、ぜひLINEにご登録のうえ、お気軽にご連絡ください。
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ぜひ一緒に踏み出しましょう。

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この記事を書いた人
会社売却2.0


